『夕凪の街 桜の国』(こうの史代/双葉社)
この漫画に関してはいろいろな想いがあるのだが今は書かない。
さまざまな先入観なしに、ただひたすら少しでも多くの、とくに若い人々に読まれてほしい。
私の薦めたものにはすべて心を打たれたと言ってくれた若い人がいた。ならば信じて読んでみてほしい。私で不足なら、漫画の歴史に目配りを怠らない漫画家みなもと太郎氏が「マンガ界この十年の最大の収穫」と言っている。
わずか100ページ、800円の本だが、もし私にお金の余裕があるなら何十冊でも買い入れて、周りの人に贈りたい。
3つの短編から成っている。
『夕凪の街』ー1955年(昭和30年)広島。二十代半ばの女性、皆美(みなみ)。
『桜の国1』ー1989年ころ。中野区新井薬師前。皆美の弟の娘、小学5年生の七波(ななみ)。
『桜の国2』ー2004年。二十代半ばの七波と父、そして広島。
3つの物語は時を追って語られてはいるのだが、ウロボロスの蛇のように循環するものでもあり、あるいは無限の螺旋の中途であるようにも思える。
1968年生まれの作者がこれを描きえた、ということに、文芸でも映画でもアートでもデザインでもなんでもいいが、想像力と創造力が試される仕事をしようと志す若い人々は学んでもらいたい。
そしてえらそうなことを言っている年長者は(私も含めて)恥じ入るしかない。
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コメント
私は30代ですが、被爆2世です。ヒロシマに居た時は気にした事も無かったですが、仕事で小倉に転勤した際、似たような年齢の人たちに「ヒロシマは、被爆とか原爆とか甘えている」というニュアンスの事を言われ、自分が被爆2世である事を隠してしまいました。この作品の世界は今でも続いているんだなあ、と思います。これからも私は隠しつづけるんだろうなあ、と思います。
感想にならないでしょうか?
投稿: かめ | 2006.08.20 23:29