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2005.04.16

『草菜根』(中東久雄)

050416sousaikon

3月に京都に行ったとき、銀閣寺近くの白川通から今出川通にさしかかったところで、行ったことのある友人が、ひなびた木造の店を指して、これが「なかひがし」と教えてくれた。
のれんの脇に板があり「お寵はんの ご飯に 炭火の肴と 山野草を添えて」と筆文字で書かれている。

京都生まれの同僚の先生からお祝いにいただいた『草(そう)菜(さい)根(こん)-そしてご飯で、ごちそうさん』(文化出版局)がこの「なかひがし」のご主人である中東久雄さんが書かれたものだった。「なかひがし」の上には「草じき(そうじき)」(草を食べさせる御馳走人)とあるのだが「じき」の字がコンピュータでは出なかった。「口」が上にあり下に「食」。

中東さんは大悲山峰定寺にある有名な日本料理屋「美山荘」の先代の弟。
毎日北山の山野をめぐり、床にいける花や、料理に飾る葉っぱ、山菜摘みをして、大原や上賀茂のお百姓さんから野菜を分けてもらい、店に入る。

この本にはその季節の料理のレシピが載っている。写真入りなのだが料理の名前の字面を見ていくだけでもうおいしそうでぜひとも食べたくなる。

いくよ。

「かきの殻焼き・ふきのとうもろみのせ」「つくしとたんぽぽの鴨すき」「さよりと芽かんぞうの酢の物」「こごみとかつおの酒盗あえ」「わらびの牛肉八幡巻き・柚子こしょう酢添え」「さわらびと葉たけのこと湯葉の炊合せ」「氷魚の木の芽煮」「あわびと花山椒の炒め煮」「塩漬けいたどりのいり煮」「じゅん菜・岩梨添え」「モロッコ豆と秋みょうがのごまみそあえ」「田ぜりと氷魚のうま煮」「たことのびるのあえ物」「野あさつきと鯉のてっぱえ」「日本たんぽぽのおひたし」「よもぎ豆腐」「野三つ葉とこのこのおひたし」「若鮎のたで煮」「山ぶきと鯉の煮物椀」「しのごぼうのごまびたし」「白ずいきとかんぞうの花と岩たけのおひたし」「干し山椒葉と生節のうま煮」「干しずいきと身欠きにしんの炊いたん」「水菜のからしあえ」「鯖と壬生菜の雪鍋」「たにしの実山椒煮」「地生えきゅうりの葛煮」「白うりのもろみそあえ」「賀茂なすとはもの煮物椀」「榧の実の塩いり」「栃餅とせりのみそ汁」「椿かぶら」「焼きぶりのみぞれ椀」「のびる粥」「嫁菜ご飯」…

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コメント

高味さんが紹介された『なかひがし』の食材には、京都北山に昔から伝えられてきた「京の田舎」の素朴な味の名残があります。

とりわけなつかしいのが「岩梨」です。
果物の梨とは似ても似つかない。
山道の切り通しの岩肌などに、貼り付くように生える、草のような低木でした。
ナシはバラ科の果実ですが、イワナシ(土地の言葉ではイバナシと言ってました)はツツジ科だそうです。

Epigaea asiateca

つりがね型のピンクの花が咲いているのを見つけると、里の子供たちは、やがてなる実を楽しみに待つのでした。
直径10mmほどの緑色の実の形は、皮を向いたミカン全体に似ています。でも食べるとナシに似たような風味でした。
・・・もちろん、今どきのナシのように、甘くてジューシーじゃありません。小さくて、ガリガリで、一個あたりの食いがいはたいしたことはないけれども香りは高かった、昔むかしのナシ。

岩梨、イバナシ、今も元気かなあ・・・

投稿: 小笠原 | 2005.04.21 02:15

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